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借金は怖いものという教え
借金は恐いものと、オジサンは教育されてきた。
だから、今の今まで、借金で失敗したことがないのだろうし、恐い目にあわずにすんできたんだろうと思っている。
ただ、こんなオジサンでも、両親に借金をしたことがないわけではない。バイトのお金をアテにしていたら、いきなり愛車が壊れてしまったことがあった。
アクシデントというのは、なぜあんなにタイミングよく起きるのだろう。ちゃんとお金が用意してある時に起きてくれればいいのに、どこで見ているのか、ちゃんとお金がない時を見計らって、起きてくれる。
その時も、旅行に行く一週間前にラジエーターが故障してくれた。
水が漏ってしまうのだ。
中古の部品でも、10万かかると言われて、そんなお金を払ったら、旅行は行けないし、さりとてこのままでは旅行も行けない。
止むに止まれず、両親に相談した。
母親は何も言わず、タンスの奥からお金を用意してくれた。きっとドライブに行く友人たちのことも考えてくれたのだろう。
もしかすると、変なところからお金を借りられるのがいやだったのかも知れないが、母親は何も言わずに、お金をそろえてくれた。
お父さんには内緒にしなさい。
ただそう一言だけ言った。
オジサンはその時迷っていた。受け取っていいのか、自分でナントカするべきじゃないのかとね。
もう大学生だしバイトもしている。
迷惑を掛けるわけにはと思ったが、母親が笑って言った。
こう言うときのために、へそくりってあるのよ。
やはり女性にはかなわないよ。
オジサンは今でもそう思っている。
そのお金はバイトの中から、1万円ずつ返済した。すべて返済した時に、オジサンは初めて両親に焼き肉をごちそうした。
父親はどういう風の吹き回しだと言っていたが、母親は親孝行したくなったんでしょ。といつものように笑っていた。
母親は今度はすき焼きが食べたいと言ってくれた。
そんなにカネないよ。
と、若い頃のオジサンも笑って言ったのだった。
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